数年前に1年間程「衣・食・住」を共にした人から、「結婚したんだ」ってメールが来た。
驚いたよ。
もの凄く驚いた。
どうして彼女が今日、突然こんなメールを送って来たのかは分からないが、読んだ瞬間、僕の心は少しだけ不安定な部分に落ちた。
思い出すべきではない記憶の波が次から次に押し寄せて来た。
携帯電話、公園、モノレール、バイク、津田沼、洗濯、シングルベッド、アルバイト、セブンイレブン、麦焼酎、ジム、会津若松、花火、神社、病院、ららぽーと、猫、お台場、正月、引っ越し、トラック、幕張、タバコ、背中、涙。
彼女を心の底から好きだったこと。
彼女を自分だと思えたこと。
その柔らかな胸の鼓動に合わせて歩くことを誓ったこと。
だけど、結局
昔、叶えたかった夢は、あの春雨の夜に消えた。
あれから、僕は違う夢を見つけた。それはあの頃望んだ夢とは違うけど、間違いなく確かな夢だった。だから多少の未練はあっても後悔はなかった。
おめでとうとごめんね。
何だか最近、そう思うことばかりだな。
僕は本当に正しい生き方をしているのかな。
誰かに幸せにしてもらうことではなく、誰かを幸せにすることが本当の幸せのような気がする。それでやっと男として一人前のような気がする。
いつになったら一人前になれるんだろうな。
一人前になったら、隣にいるその人と二人三脚で歩きたい。子供が出来たら三人四脚だ。脚は命と共に増えて行く。
増えれば増えるほど歩きづらいけど、きっと楽しい日々だ。喜びも達成感も共に分かち合えるから。それが家族だ。
あのとき君が「思い出」になることが怖かったけど、今はもう怖くはない。それすらも幸せと呼びたい。素晴らしき人生を。
いつか、また別の角度からお互いを見つめ合えたらいいな。