異常に好き

高校3年生の頃、異常に好きだった場所がある。

長崎の式見という町の岸辺から見える海だ。

太陽が水平線に沈む景色がおかしいくらいに好きで、時には休日に時には放課後に、どうかすると早引きしてまで式見の海を見に行っていた。



1人で。(笑)




僕は18歳で千葉に来てから1度も海水浴へ行ったことがない。長崎にいた頃も中学生以降海水浴へ行った記憶がない。

でも何度も眺めには行っている。



僕にとって海は泳ぐ場所ではない。眺める場所なのだ。




波の音を聞きながら赤い太陽が海の向こうに消えて行く姿は、そこら辺のB級映画よりよっぽど僕の胸に響いた。

受験勉強という、猛スピードで進むのにも関わらず全く終わりが見えないレースの中で、例え一瞬でも現実を忘れさせてくれた式見の海は最高の癒しだった。



だから僕は「帰るべき場所」を想うとき、いつもあの海のことを思いだす。
親しい友人にすら家族にすらほとんど教えることのなかった僕の大切な海を思い出す。



いつか「P.S.」という曲をCDで発表したい。その時はあの場所でジャケット写真やプロモーションビデオを撮りたいなぁ。