彼女は突然記憶を無くした。その記憶の形跡は残っているのだが、肝心の中身が思い出せなくなった。
つまりご飯を食べたことは覚えているのだが、何を食べたかが思い出せないのだ。
いわゆる痴呆だ。
記憶を取り戻してもらうべく、治療に励むか。それとも自然の流れに任せそのまま生きて行くのか。
僕は決断した。
治療をしよう。まだ障害を認めるには早すぎる。痴呆になるにはあまりに若すぎるのだ。
1週間迷ったあげくの決断だった。いや、迷ったと言うよりも準備が必要だったのだ。人生にはそういうときもある。
今日、民間の病院へ彼女を送り届けてきた。診察は困難を極めた。医者も理由が分からないのだ。僕も彼もいらだっていた。人生はうまく行かないこともある。彼女はどことなく悲しげな顔をしていた。って言うか、真っ赤だった。
想像より長い診断を経て彼女は無事に入院した。保険が適用されれば無料だが、されなければ5000円から1万円かかるらしい。
しばしの別れだ淑子。
いや、淑子という名のW44T。(携帯)
ってか、買ってすぐに壊れんな。(怒)